ミラーボールのある生活

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一番おいしい駅探し 1

先月、今月と、仕事の関係で駅名をたくさん見ていた。
普段なら駅名なんてあまり気にしたこともなかったけれど、お昼どきや退勤間際、お腹が空く時間帯に見ていると、自然とこう思うようになる。
 
「この駅、おいしそう」
 
一番おいしい駅はどこだろう。
気になったので、おいしそうな駅を食べてみた。
 

ルール決め

自分一人で勝手にやることだけど、大まかなルールは決めておきたい。
ということで決めたのがこちら。
 
  1. 駅名を料理にして、そのおいしさを調べる
  2. 駅名はひらがなに開いてから料理にする
  3. 今回は「駅名」だけを料理にするので、その駅周辺の雰囲気とか名物とかは盛り込まない
  4. 食べられないようなものは作らない(食材はむだにしない)
 
ルール1(と3)、記事のタイトルでは「おいしい駅」となっているが正確には「おいしい駅名」だ。駅舎とか駅の周りとかそういうのを料理にするのではなく駅名を料理にする。
ルール2、どうしようかと迷ったが、どちらかというと駅名の持つ響きを味わいたい、料理にしたいと思ったので漢字ではなくひらがなにしてから考える。漢字のままだと錦糸町はやっぱりたまご方面にずるずる引きずられてしまいそうだし、逆に両国は漢字のままだとあんまり食欲をそそらないが「りょうごく」と開くことでちょっと清涼感と喉ごしのよい食べ物のように見えてくるし。
ルール4、今回は「渋谷」「新宿」みたいな存在しない料理を作るので、失敗もあるかもしれない。でも食材をむだにはしないよう頑張って食べきるし、頑張らなくても美味しく食べきれるようなものを作ろう。
 
前置きが長くなったが、一番手はこの駅。
 

駒込

漢字のままだとごつそうで食べられそうにないけど、ひらがなに開いてみると「こまごめ」。
途端に食べられそう、おいしそうに見えてくる。
どう料理しようかと考え込む間もなく作った料理がこれ。
 
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これが「こまごめ」です。
 
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アップ
 
どうしてこのような料理になったか説明するとこうなる。
まず、「こま」の部分を見ていて浮かんだのは小松菜と豚こま。どちらもこまがつくから、という安直な選択になってしまったことは認める。
そして「ま」の部分からは少しこってりした雰囲気を感じる。まったり、まろやか、といった言葉の印象だろうか。だから細かめに刻んだ小松菜と豚こまをしんなりするまでごま油で炒め、そこに味噌とみりんと砂糖でちょっとこってりめに味付けした。
そして「ごめ」の部分。日本人的発想で「米」を連想してしまった。ただ、問題はこれが「こまこめ」ではなく「こまごめ」であるところにある。「ごめ」という響きからは、炊いたご飯そのままというよりもぎゅっと固められたご飯という印象を受ける。だから、お米をぎゅっとおにぎりにして、醤油をうすーく塗っていい感じの焦げ目がつくまでトースターにイン。焼きおにぎりにした。これで「こまこめ」ではなく「こまごめ」に値する硬さに持って行けただろう。
最後に、「こま」の部分と「ごめ」の部分を重ねて、「こまごめ」の出来上がり。
 
このこまごめ、とてもおいしかった。
「ごめ」、つまり焼きおにぎりの部分は醤油味なんだけど、上に乗っている「こま」が甘辛い味噌風味なので口の中で味噌焼きおにぎりみたいな風味になる。あと、小松菜の芯の部分を少し多めに使ったので、「こまごめ」の「こ」という感じの歯ごたえも残っている。
「こま」の部分は作るのに全く時間がかからなかったので、普段炊きたてのご飯に載せて食べてもいいかもしれない(その場合はこまこめになってしまうけれど)。
母にも食べてもらったがいたく気に入られて、「こまはまだ残ってる?」「ごめ、また焼かないと無いのかあ」などと言ってくれた。
 
ボリューミーな主食兼主菜を経て、次に作った駅はこれ。
 

二子玉川

 
ひらがなにすると「ふたこたまがわ」。
もうおいしそうな要素しか無い。
先に完成系を見せると、こちら。
 
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のぺっとしている
 
「玉」を「たま」に開いてもやっぱりたまごを連想してしまった。
でもそれだけじゃなくて、この駅の何がおいしそうかって、最初と最後。「ふ」と「わ」にくるまれているのだ。「たま」だし「ふわ」だし、これはたまごでくるむしかない!と考えた結果こうなった。
 
その中身はこうなっている。
 
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ふわっと湯気が上った
 
多分よくわからないと思うから解説すると、お麩とタコと生姜を醤油と酒と砂糖で煮た煮物が入っている。
「ふ」「たこ」の部分はそのまま材料にしてしまった。これを作っていて気付いたけれど、お麩の「ふ」感とタコの「たこ」感はすごい。どちらも食感をそのまま名前にしたような感じ。
で、生姜は何かと言うと、これは「が」の部分。「ふたこたまかわ」ならお麩とたこの煮物をたまごでくるんだ優しい味の料理で終わると思うが、これは「ふたこたまがわ」だ。濁点の分、少しがつんとくるような要素が欲しい。そう考えて生姜をざくざく切ったものを煮物に加えた。
 
結果的にこれは予想以上においしくて、特に弟がよく食べてくれた。
お麩のふわふわ感・ひたひた感とタコのコリコリ感の差が楽しい料理になったと思う。
たまご含めほわっと優しい味ではあったけれど、生姜のぴりっとした感じがそれを引き締めていた。
たまごにだし汁をちょっと加えたのもよかったかもしれない。全体的に味がまとまっていた気がする。
反省点としては、「麩」と「タコ」はやっぱり安直すぎたということ。
 
お腹がいっぱいになってきたので、今日のラストはこの駅。
 

麹町

 
そのまま漢字だと絶対に麹に引っ張られてしまう。
引きずられないうちにひらがなに開いて「こうじまち」。
字面を見ていて浮かんだのがこの料理だった。
 
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とても甘そう
 
「うじまち」を見た瞬間「これは宇治抹茶しかない」と思った。
抹茶は抹茶でも、「こ」の持つ響きの冷たさも入れてみたい。そう思ったから抹茶のアイスを主体にした。
そこに入ってくるのはあずきと白玉。あずきは抹茶との相性を考えて入れた調味料的なものなので特に解説はないとして、白玉は「まち」の部分。「マ行+ち」って、全体的に弾力がある響きだと思う。みちみち、むちむち、もちもち。「まち」にも同様に弾力性を感じたので、白玉を茹で上げてトッピングした。
これらを包んでいるのがクレープ。「まち」の部分を見ていると「マチ」に変換されたのか袋が浮かんできた。だからアイスや白玉を入れる袋のようなものを作りたいと思ってクレープを焼いた。
そして、こうじまちの「こ」からは「小さい」雰囲気を感じた。「うじまち」でも「おおうじまち」でもなく「こうじまち」。なので、材料を小さい器にぎゅっと詰めて大きいガラス皿に乗せて「小」を表現した。つもりだったが、それだけではなく、こうすることで想定外な「個」のニュアンスも出てきたのではないかと思う。
 
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「個」として独立している感じ
 
味の方は概ね想定通りで、普通に鉄板でおいしいよね、という感じ。
こういう組み合わせ系スイーツは完成前から味の予想がなんとなくついてしまうから仕方ない。
「うじまち」の要素をもっともっと強めて、濃厚な抹茶アイスを仕入れてみたらまた違ったかもしれない。
でも、初めて茹でた白玉が予想以上に美味しかったり、作ってみたら予想外のニュアンスが出てきたりと今回一番面白い料理だったかもしれない。
 
 
今回3品作ってみて、自分がひらがなに対して抱いているイメージが見えてきたような気がする。
カ行は食感が固め、温度としては冷ため。マ行は味がこってりめで、濁点はちょっと癖がある。
もしかしたら次に作る駅次第でまた変わるかもしれないけれど、自分の中の法則が見えたような気がしてちょっと楽しかった。
 
次はどこの駅を食べよう。